「わたしとSF」粕谷知世

「終わり続ける世界のなかで」粕谷知世著(新潮社)

宇宙とは何かについて知ろうと思ったら、それこそ神でなきゃ無理だ。宇宙のはじまりと同時に誕生して、形成される星々を眺め、無数の星の一つ一つに遍在して、炎天の昼、雷雨の夜を過ごして、溶岩の噴き出す最中に立ち会い、そうして生き物が発生する様子を目撃していなくては。

だけど、わたしは百年そこそこの寿命の人間として生まれてきた。同じ人間でも物理学者や数学者には宇宙の骨組みが少しは透けて見えるのかもしれないが、中学で習った二次方程式の解き方さえ忘れてしまったわたしには無理。音楽家なら、ごうごうと流れ続け、変転し続ける宇宙と同じリズムを刻んだと感じる一瞬があるのかもしれないけれど、今からピアノを習い始めても、それほど上達するのはきっと無理。だけど、ある種の物語を読むと、人間という極小のかけらを通して宇宙全体の姿を垣間見たような気分になれる。

はじめてSFを意識したのはジュブナイルの「火星のプリンセス」だっただろうか。「火の鳥」「幻魔大戦」「果てしなき流れの果に」「百億の昼と千億の夜」「産霊山秘録」「リプレイ」「火星夜想曲」「夢幻会社」「ノーストリリア」最近では「ハーモニー」や「都市と都市」、「魔法少女まどか☆マギカ」など。こうして題名を書き連ねていくだけでも、その作品を通して見せてもらった宇宙の広さや深さを思い出して、わくわくする。

わたしなりの方法で、そんな気分になれる物語が書けたらいいな、そう思って、パソコンに向かっています。